2020年は、牝馬アーモンドアイがGI勝利数を更新し、牡馬・牝馬共に無敗の3冠馬が出るなど、記録尽くめの年でした。競馬を取り巻く環境で言えば、コロナ過の影響で無観客競馬で競馬が開催されました。
この無観客競馬と、その期間中に達成された記録には、何らかの影響があるのか、調べてみました。
この記事は、2020年11月8日に公開された下記動画のダイジェスト版です。動画でより詳しく分析していますので、この記事が気に入った方は動画もぜひご覧ください。
競馬情報サービス「JRDB」が提供しているデータの中に、「パドックでの気配」があります。文字通り、パドックを周回している馬の気配を「状態良」「気合良」「平凡」「気合不足」「不安定(※厩務員に甘えるなど落ち着いていない状態)」「チャカ」「イレ込み」「イレチ(イレ込み+チャカ)」の8パターンに分類しています。その出現頻度を2016年からの5年分、延べ224,653走分集計したのが下の表です。
状態良+気合良 | 平凡 | 気合不足 | 不安定 | チャカ | イレ込み+イレチ |
0.01% | 63.1% | 0.006% | 22.0% | 14.8% | 0.08% |
「チャカ」「イレ込み」「イレチ」をイレ込んでいる状態とするならば、過去5年の全出走馬の約15%がイレ込んでいる、ということになります。それでは2020年はその割り合いはどのように変化したのか、2016~2019年の4年と比較してみましょう。
なお、「状態良」「気合良」「気合不足」「イレチ(イレ込み+チャカ)」の4パターンはいずれも出現頻度が0.1%にも満たないほど低いので、ここでは「平凡」「不安定」「チャカ」の3パターンに絞って比較します。
平凡 | 不安定 | チャカ | |
2016 | 54.1% | 29.7% | 16.1% |
2017 | 58.8% | 25.0% | 16.1% |
2018 | 61.7% | 21.2% | 17.0% |
2019 | 65.2% | 16.9% | 17.8% |
2020 | 75.9% | 17.2% | 6.9% |
上の表から分かるように、2020年のイレ込む馬は例年の半分以下、不安定な馬も例年の3/4に減少しています。結果的に、イレ込む馬の減少が各記録達成のアシストを果たしたのではないでしょうか?(先に紹介した動画では、イレ込むことが競走馬の走力に影響するのかも考察しています)
アーモンドアイを管理していた国枝栄調教師は無観客開催について、下記のように仰っています。
また田辺裕信騎手も無観客開催について下記のように語っています。
調教師と騎手の双方が、無観客開催は馬にとっては良い環境であると指摘していますので、今回のデータはある程度信憑性があると判断して良さそうです。
個人的に、レース前の歓声や手拍子はレース妨害でしかないと思っています。観客の歓声や手拍子により競走馬がイレ込み、それが原因で負けてしまうことが一番悔しいし、悲しい(その馬の馬券を買っていたら尚更)。
2021年5月時点で、徐々に観客を入れていく状況になってはいますが、観客の皆さんの節度ある行動を切にお願いしたいところです。同時に、JRAには遮音壁などの導入で、騒音により競走馬の走力を削ぐことが無いように努めて欲しいと思います。
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