そもそも競馬におけるラップタイムとは何か?
日本競馬において、ラップタイムとは一番先頭を走る馬が200m毎に記録されたタイムのことを差します。
たとえばグランアレグリアが快勝した2021年のヴィクトリアマイルのラップタイムは下記の通りです。
1F | 2F | 3F | 4F | 5F | 5F | 6F | 7F |
11.9 | 10.8 | 11.6 | 11.7 | 11.6 | 11.2 | 10.9 | 11.3 |
1Fのところに11.9秒と書いていますが、これはスタートから200m地点を一番先頭の馬が走ったタイム、という意味です。1Fは200mですので、次の2Fに10.8と記しているのは、200m地点から400mを先頭馬は10.8秒で走ったということです。このように200m刻みで先頭馬が通過したタイムがラップタイムです。
これで何が分かるのか、というとレースの大まかな流れです。大体12秒あたりが標準的なラップタイムで、11秒台だと速く、10秒台なら結構速いペースだった、ということになります。一方、12秒台を超えると遅めのペース、13秒台になるとかなり遅いペース、ということです。
その基準で、ヴィクトリアマイルのラップタイムを読み解くと、最初の2F(400m)まではペースが速くて、そこから速めのペースで落ち着きつつ、ラスト3Fはさらにペースが上がった、ということになります。
で?
そうなんです。ラップタイムに馴染みのない人は、ラップタイムの解説を聞いてもピンときません。
走破タイムや上がり3Fタイムのように個々の馬に発表されるデータと異なり、ラップタイムはあくまでも先頭馬のみのデータに過ぎないので、それをどのように予想に活用していいのか答えが出ないまま、競馬予想の本流から外れていました。
もちろん競馬の神様・故大川慶次郎氏の時代から、「このレースは逃げ馬不在だからペースが遅くなる。だから先行馬有利」とか「前走ハイペースにも関わらず、逃げ粘ったから強い」などと、ラップタイムを予想に組み込んだ競馬予想家はいました。
しかしながら、ラップタイム自体は解釈の余白が大きいデータなので、予想に組み込もうとすると想像力や競馬の経験値が要求されます。ラップタイムは、ある程度、競馬に精通した玄人のみが使いこなせるデータだったのです。
今回紹介する「ラップギア」は、そんな不遇のデータ、ラップタイムを素人でも使えるレベルに落とし込んだ画期的な手法です。
その予想プロセスはとてもシンプル。ヴィクトリマイルにおけるグランアレグリアの取捨選択にラップギアを使ってみましょう。
こんな感じで全頭を分析して、出走するレースのラップパターンに合致しそうな馬を探す、というのがラップギアを用いた予想の流れです。
ちなみに、ヴィクトリアマイルでは2着に10番人気のランブリングアレーが来ましたが、この馬の戦績をラップギア分類すると、瞬発3・平坦6・消耗1、とヴィクトリアマイルの適性はドンピシャでした。ちなみに14番人気ながら4着に来たディアンドルも瞬発1・平坦5・消耗1とやはり適性はドンピシャ。
能力が抜けていれば多少の適性の壁は越えていきますが、混戦ではこういった適性の差で好走・凡走がハッキリと出ます。
このようにある程度、主観を排してラップタイムを予想に組み込むことができるのが、ラップギアの凄いところです。今でこそラップをメインにした予想は珍しくありませんが、ラップギアは間違いなくラップ予想のエポックメイキング的な存在と言えるでしょう。
そしてより深く、ラップタイムについて学んでみたい方は、「ラップとデータの真実」(著:上田啄巳)をオススメします。ラップタイムについての基本的な事柄は学べると思います。今ではラップタイム予想も独自の進化を遂げていますので、基本を押さえた上で、あとは自分好みのラップタイム予想を模索しててみてはいかがでしょうか。
2021.06.08
2021.05.28
2021.06.01
2021.06.22