競馬で儲けようとする場合、大まかに分けて2つのアプローチがあります。ひとつは馬券の的中率を上げるやり方、もうひとつは回収率を上げるやり方。
競馬本というと、ほとんど前者の的中率を上げることを主眼に書かれています。現在、売られている競馬本のほとんどが、××必勝本の類です。狙ったレースをズバリと当てる快感は何物にも代えられませんので、こういった××必勝法の類の本がもてはやされるのが理解できますけどね。
翻って、後者の回収率を上げる手法に触れた本は滅多にありません。特に、長期的なスパンで軍資金を運用し増やしていくことに主眼を置いた本をほとんど見当たりません。「コツコツ」やら「長期」やらは競馬ファンとは対極に位置するキーワードかもしれません。
さてそんな必勝本ばかりの競馬本界にあって、数少ない資金運用本が今回紹介する「ストック式錬金術」です。
この本で書かれている「ストック式錬金術」は、簡単に言うと、コロガシの一種です。他のコロガシと異なるのは、想定以上に儲かった場合、その分は余剰金としてキープしておくことです。コロガシの場合、外れが続くと資金がバーストする危険性がありますが、余剰金をキープしておくことで軍資金がバーストしても、キープしておいた余剰金があるために全損は免れる、という仕組みになっています。
資金運用の流れは、下記の動画の冒頭でも説明していますので、こちらもご覧ください。
この「ストック式錬金術」で求められるものは、1.3倍以上のオッズの馬券を70%以上当てられる馬券力と、掛け金がどんどん増えてもスタンスを崩さない精神力、です。前者は割とハードルは低いと思います。多頭数の1番人気馬の複勝率60%強で、平均オッズ約130円なので、レースを吟味することで的中率70%は十分実現できそうです。
問題は後者。本の中でもサンプルとして、15,000円から始めて50回目のレースで50万円を目指す例が載っていますが、額が大きくなった時にドカンと大勝負してしまいそうです。なんとっても、15,000円から始めていますので、外れたとしても損害は15,000円。10万、20万と資金が膨らんだ時にコツコツかけ続けることができるか、めちゃくちゃ不安です。
ともあれ、15,000円を一気に50万にするのは至難の業ですが、「ストック式錬金術」では精神力さえあれば、ローリスクでいけそうな気がします。
また、この本の秀逸なところは、馬券の吟味のアプローチにも触れられているところです。これを読むことで、「ストック式錬金術」を実践するしないに関わらず、馬券力は向上するのではないでしょうか。
本書の冒頭では、マーチンゲールやモンテカルロなど、よく知られた資金運用法もそのデメリットがしっかり書かれていますので、こちらも参考になる人は多いのではないでしょうか。
2021.06.08
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2021.05.28