ケイバぶ

血統が繋がっているダービー馬を調べてみた(2000年代編)

2021年06月30日

1990年代のダービー馬10頭の内、後継種牡馬がいる馬は、トウカイテイオー、フサイチコンコルド、スペシャルウイークの3頭。そこからさらに血統が繋がる可能性があるのが、トウカイテイオー、スペシャルウイークの2頭。ただこの2頭の後継種牡馬も現在のところ、目立った活躍馬は出ていないので、現状で血統を繋ぐのは厳しいと、前回の記事で書きました。

血統が繋がっているダービー馬を調べてみた(1990年代編)

今回はその続きで、2000年代のダービー馬の後継種牡馬事情を見ていきましょう。現在の血統勢力図に大きな影響を持つ2大種牡馬が登場しますよ。

馬名(父馬) 後継種牡馬
2001 ジャングルポケット(トニービン) フサイチホウオー→×
オウケンブルースリ
トーセンジョーダン
2002 タニノギムレット(ブライアンズタイム) クレスコグランド
オウケンマジック
スマイルジャック
2003 ネオユニヴァース(サンデーサイレンス) ロジユニヴァース
アンライバルド
ヴィクトワールピサ
ネオリアリズム
トーセンファントム→ブレイブスマッシュ
2004 キングカメハメハ(キングマンボ) たくさん
2005 ディープインパクト(サンデーサイレンス) たくさん
2006 メイショウサムソン(オペラハウス) ×
2007 ウオッカ(タニノギムレット)
2008 ディープスカイ(アグネスタキオン) ×
2009 ロジユニヴァース(ネオユニヴァース) ×
2010 エイシンフラッシュ(キングズベスト) ×

2000年代前半は、サンデーサイレンス旋風真っ只中、2000年代後半はサンデーサイレンスの孫世代が活躍と、世代交代感が顕著ですね。それでは、それぞれのダービー馬を見ていきましょう。

ジャングルポケット

お笑いトリオ、ジャングルポケットの元ネタとしての知られるジャングルポケット。オークス馬トールポピーの全兄フサイチホウオー、菊花賞馬オウケンブルースリ、天皇賞(秋)馬トーセンジョーダンが後継種牡馬となっていますが、目立った活躍馬が出ておらず、このままでは血統の存続は厳しそう。

タニノギムレット

ブライアンズタイム産駒としては最後のダービー馬となった、タニノギムレット。牝馬ながら日本ダービーを制したウオッカのお父さんですね。

クレスコグランド(京都新聞杯1着)、オウケンマジック(1勝クラス)、スマイルジャック(日本ダービー2着、スプリングS1着)と3頭が後継種牡馬となりましたが、オウケンマジック・スマイルジャックは、種牡馬引退し、残ったクレスコグランドも産駒はほんの数頭という現状なので、血統は途切れそうです。

ネオユニヴァース

デムーロ騎手に、皐月賞・日本ダービーの2冠をもたらしたネオユニヴァースは、日本ダービー馬ロジユニヴァース、皐月賞馬アンライバルド、ドバイワールドカップを制したヴィクトワールピサなどが後継種牡馬となっていますが産駒の成績はパッとせずここから血統を繋げるのは難しい状況です。

ケガのため早期に引退したトーセンファントムも種牡馬入りすると、産駒のブレイブスマッシュがオーストラリアのGIを制し、その後オーストラリアで種牡馬となりました。また、クイーンエリザベス2世カップを制したネオリアリズムも、オーストラリアで種牡馬になっています。

ヴィクトワールピサも新天地トルコで種牡馬人生をリスタートさせましたので、ネオユニヴァース系はワールドワイドで血統が繋がっていくかもしれませんね。

キングカメハメハ

NHKマイルカップ、日本ダービーと変則二冠を達成したキングカメハメハは、ここ30年で最も成功した種牡馬2頭の内の1頭と言えるでしょう。芝ダート問わず多くのGI馬を送り出しました。代表格は短距離GI6勝のロードカナロア、名牝アドマイヤグルーヴの忘れ形見、二冠馬ドゥラメンテ、ダートで交流GI10勝を挙げたホッコータルマエなどなどがいます。

多くの産駒がキングカメハメハの後継種牡馬となりましたが、特にロードカナロアは、GI9勝馬アーモンドアイ、皐月賞馬サートゥルナーリアを出し、キングカメハメハの後継種牡馬筆頭の地位を確立しています。なおサートゥルナーリアは既に種牡馬となっていますので、数年後には、キングカメハメハの、ひ孫世代がデビューします。今のところ順調すぎるほど順調と言えるでしょう。

ディープインパクト

ここ30年で最も成功した種牡馬2頭の内のもう1頭が、ディープインパクトです。現役時代もインパクト十分でしたが、種牡馬となってからもそのインパクトは色褪せることはありません。キズナやディープブリランテなど7頭もの日本ダービー馬を送り出し、毎年産駒がGIを勝つなどコンスタントに活躍馬を送り出しています。

ジェンティルドンナ(GI7勝)やグランアレグリア(GI5勝)といった名牝に比べ、牡馬の産駒はGIを3回以上勝てないというジンクスがありましたが、フィエールマンがGI3勝し、コントレイルもクラシック3冠を含むGI4勝を達成しましたので、やっとその呪縛から抜け出した感があります。

さて、ディープインパクトの後継種牡馬なんですが、30~40頭くらいいます。今までの後継種牡馬に恵まれず血統が途絶えていった馬達と比べると、笑ってしまうくらい桁違いに多いです。それだけディープインパクトの血統に需要があるのでしょうが、それ以上に深刻なのが確固たる後継種牡馬がいないという問題です。

リアルインパクト産駒のラウダシオンがNHKマイルCを勝ちましたが、目立つ成績と言えばそれくらいなもので、ディープインパクトの後継種牡馬は数こそ多いものの、キングカメハメハの後継種牡馬ほどの成果を出せていません。

個人的には早熟傾向(3歳春あたりがピーク)にあるディープインパクト産駒ばかりが後継種牡馬となったのが問題なのではないかと思っているので、5歳時にGIを勝っているフィエールマンは、後継種牡馬筆頭に成り得るとすごく期待しています。また三冠馬コントレイルも2022年から種牡馬入りしますので、ディープインパクトの後継種牡馬と成り得る可能性は十分あります。4歳秋にGIを勝てれば、の話ですけどね。

ともあれ現状では後継種牡馬がイマイチなので、今後の産駒の成績如何で、ディープインパクト系は一気に衰退する可能性もありそうです。

メイショウサムソン

メイショウサムソンは、1996年のフサイチコンコルドから10年ぶりのノーザンダンサー系のダービー馬。大馬主松本好雄さんにとっては初のダービー馬ですね。牡馬の活躍馬に恵まれず、現状では血統が途絶えそうです。

ウオッカ

牝馬ながら日本ダービーを制したウオッカ。牝馬なので種牡馬ではなく、繁殖牝馬になりました。産駒は7頭いて、牡馬の活躍馬はいませんが、牝馬が3頭いますのでそこから牝系として繋がっていく可能性は十分あります。

個人的な感想ですが、どうしてシーザスターズとかフランケルとか欧州の種牡馬を種付けしたんでしょうね。日本で走らせるなら、サンデー系1択だと思うんですが。ウオッカ自身はサンデーの血は持っていない訳ですし。

ディープスカイ

(馬名からディープインパクト産駒と間違えられそうだけど)アグネスタキオン産駒のディープスカイ。サンデーサイレンスの孫世代として初めてダービー馬となりました。産駒はどちらかというとダート馬が多いのですが、どちらにしろこれといった活躍馬がいないので、このままでは厳しいかも。早逝したアグネスタキオンに代わって血統を繋いでいってほしいですけど。

ロジユニヴァース、エイシンフラッシュ

ロジユニヴァース、エイシンフラッシュ共に、今のところ活躍馬は出ていません。

2000年代のダービー馬血統リレーまとめ

2000年代の日本ダービー馬を見てきましたが、ウオッカを除く9頭中4頭が、後継種牡馬に恵まれず血統が途切れてしまいそう。残った5頭の内、ジャングルポケット、タニノギムレットも後続が続かず、この父系を伸ばすのはかなり厳しいところです。

サンデーサイレンス、トニービン、ブライアンズタイムは、1990年代は種牡馬御三家として名を馳せていましたが、2000年代以降、トニービンとブライアンズタイムは風前の灯火で、サンデーサイレンスだけが残りそうですね。

サンデーサイレンス系にしても、ディープインパクト系は現状で後継種牡馬が小粒なので、一気に衰退する危険性も0ではなく、ハーツクライ系に取って代わられる可能性も十分にあります。

2000年代の種牡馬で勝ち組のキングカメハメハも、ロードカナロアが存在感を示しましたが、アーモンドアイが規格外なだけで基本は2000mまでをこなす種牡馬だと思うので、中長距離での活躍馬を他の後継種牡馬(ルーラーシップやドゥラメンテあたり)で輩出したいところです。