ケイバぶ

馬名うんちく:ミスタープロスペクター編

2021年07月07日

個人的に好きな馬名が、「ミスタープロスペクター」。

世界中に広がる「ミスタープロスペクター」系の始祖ですね。日本で言えば、大種牡馬キングカメハメハの祖父、ロードカナロアのひい爺ちゃんにあたります。

この「ミスタープロスペクター」、直訳すると「炭鉱夫」です。

これはミスタープロスペクターのお母さん、ゴールドディガーが由来です。ゴールドディガーはゴールド(Gold)は金。ディグ(Dig)は掘る、なのでゴールドディガー(Gold Digger)は直訳すると、「金を掘る人」という意味になります。

ちょっと話はそれますが、「ゴールドディガー」には、財産目当てで近づいた女、という意味もあります。物騒な感じですね。

なんでそんな意味深な馬名が付いたかというと、ゴールドディガーのお父さんであるナシュアを所有していた大金持ちのウィリアム・ウッドワード・ジュニアさんが、"奥さん"に強盗と間違って射殺されているんです。

それで財産目当てで殺したんじゃねーのみたいな意味合いで、ナシュアの子供にゴールドディガーという名前が付けられた、と言われています。真相は分かりませんけど。

ミスタープロスペクターに話を戻すと、お母さんがゴールドディガー「金を掘る人」なので、それにちなんで「炭鉱夫」という名前が付けられたというわけです。採掘繋がりですね。

んで、ミスタープロスペクター自体は現役時代はあまり活躍することができなかったわけですが、種牡馬入りしてからは、多数の活躍馬を出して、一大父系を成すまでになりました。

産駒なのですが、金を掘る人、炭鉱夫と採掘繋がりで、採掘、特にゴールドラッシュを連想させる馬名が多く見られます。

1984年生まれのゴーンウエスト(Gone West)。意味は「西へ行く」です。西というのはゴールドラッシュに湧いていたアメリカ西部のことですね。一攫千金を求めて西を向かっていたのです。金を掘る=西部、に行く、みたいな流れです。

1985年のフォーティナイナー(49ers)も採掘繋がりです。1848年にカリフォルニアがアメリカ領になりましたが、それから間もなくそのカリフォルニアで金が見つかったので、翌1849年に金を求めて多くの人がカリフォルニアに移ってきました。その人たちを1849年の49からフォーティナイナーと呼んだのです。

同じく1985年に生まれたシーキングゴールド(Seeking the Gold)はそのまんまで、「金を探すぜ!」と意味ですし、1984年のマイニング(Mining)は「採掘」というドストレートなネーミングです。

いやいや金なんて掘らないぜ狙うのはヒスイ(Jade)だぜ、とばかりにジェイドハンター(Jade Hunter)。俺っちはそのヒスイを横取りするぜ、とジェイドロバリー(Jade Robbery)はヒスイ泥棒のこと。

このように、「ミスタープロスペクター」は自分の血統共に、多くの採掘繋がり馬名を残しました。今となってはゴリゴリの採掘繋がりの馬名は数少ないですけど、ユーモアがありますよね。