「お願い!ランキング」 (テレビ朝日、2021年5月21日)で放送された「2021年 競馬ファン1000人が決める!競馬大逆転レース総選挙」のベスト5の順位は以下のように決まりました。
順位 | レース名 | 対象馬 | 獲得票率 |
1位 | 有馬記念(1990年) | オグリキャップ | 8.5% |
2位 | 有馬記念(1993年) | トウカイテイオー | 3.2% |
3位 | 根岸ステークス(2000年) | ブロードアピール | 2.8% |
4位 | 有馬記念(2006年) | ディープインパクト | 2.8% | 5位 | クリスタルカップ(1994年) | ヒシアマゾン | 1.7% | 5位 | 皐月賞(2012年) | ゴールドシップ | 1.7% |
1位は、稀代のスターホース「オグリキャップ」が見事に有終の美を飾った、1990年の有馬記念でした。
その年のGIを3連敗して、オグリキャップは終わった、と思われていた中での勝利ですので、そのインパクトは絶大ですね。
武豊騎手が、手前をスムーズに変えさせたから、などと勝因は色々語られていますが、やはりオグリキャップが「持っていた」ことが一番の勝因ではないでしょうか。これこそ稀代のスターホースたる所以だと思います。
ちなみに、競馬には全く馴染みがなかった私が一番最初に勝った競馬ブックが、その有馬記念号でした。それくらいオグリキャップや競馬について日本中が熱狂していた時代でもありました。バブルで景気良かったしね。
2位は、1993年の有馬記念。トウカイテイオーが奇跡の復活勝利でラストランを飾りました。
トウカイテイオーにとっては、骨折による1年のブランク明けと、通常であれば好走はほぼ不可能なローテーションで挑んだレースでした。
出走メンバーも豪華で、ビワハヤヒデ、ウイニングチケット、ベガ、レガシーワールド、ライスシャワーなどなど。単勝人気こそ4番人気でしたが、本当に勝利すると思ってたファンはそんなに多くなかったかもしれませんね。それほど、当時は休み明けでGIを勝つなど有り得ないと考えられていた時代でした。
しかもトウカイテイオーの場合は、1年ぶりですからね。数か月の休み明けでGIを勝つことが珍しくない現在ですら、さすがに1年ぶりのGIを勝つことは皆無。そういった意味でもこの勝利は、30年経った今も色あせることはありません。
3位は、大逆転レースの代名詞ともいうべきレースがランクイン。ブロードアピールが怒涛の追い込みで勝利した、2000年の根岸ステークスです。
ブロードアピールと言えば、ディープインパクトやキングカメハメハ、そして白毛のソダシのオーナーで知られる、金子真人さんの所有馬です。
YouTubeにそのレース映像がアップされているので、見ていただきたいのですが、ダートコースの直線だけで最後方から14頭をごぼう抜きしたその姿は衝撃的。子どもの徒競走に大人が一人混じっているくらいのレベルの差があります。
蛇足ながら、ブロードアピールは、2018年のダービー馬ワグネリアン(こちらも金子さんの所有馬)の祖母でもあります。引退後もその存在感は健在ですね。
4位は、ディープインパクトのラストランでもある、2006年の有馬記念。道中は最後方から3番手で進み、3コーナーから4コーナーを回ってくる間に徐々にポジションを押し上げ、最後の直線に向いた時には先頭に並ぶ、という、これぞディープインパクト!、というレースの進め方で、快勝したレースです。翌年も現役を続けていたら、GIを勝ち数も2つ3つは積み上げられていたのではないかというほど、レベルの差を見せつけました。
個人的には2006年の宝塚記念の方が印象に残っています。渋った馬場に各馬苦戦している中、直線スルスルと追い込んできた様は、馬場が悪くてもお構いなしかよ!と衝撃を受けました。
5位は、女傑ヒシアマゾンが勝利した、1994年のクリスタルカップです。
普通ラスト100mで、後続の馬と4馬身の差があればセーフティリードと言えますが、そこからヒシアマゾンは差し切りました。この時代、外国産馬は桜花賞やオークスへの出走権は無かったのですが、もし出走してたら楽勝だったのでは?!と思わせるほどのパフォーマンスでした。
実際この後、オールカマーや京都大賞典を勝ち、ジャパンカップや有馬記念で2着に入るなど、牡馬に引けを取らない活躍を見せました。今でこそ牡馬以上に活躍する牝馬は珍しくありませんが、ヒシアマゾンはその先駆けともなった馬だと思います。
同率5位で、2012年の皐月賞がランクイン。このレースはゴールドシップが1頭だけ「別次元」の走りを見せ、勝ちました。
レース動画を見ると分かるのですが、内馬場が非常に荒れているので、最終コーナーでは各馬大外を回している中、ゴールドシップだけが最後方から一気にインを突いて、直線向いた時には先頭に並ぶほどの位置取りになっていました。見ていた人は「え?ゴールドシップいつの間に?」と衝撃を受けた走りでした。
荒れた馬場を苦にしないゴールドシップだからこそできた位置取りで、鞍上内田騎手のファインプレーと言えるでしょう。その後、ゴールドシップは稀代のクセ馬として名を上げていくのですがそれはまた別のお話。
「大逆転」の意味合いが微妙に異なるレースが混在してますね。ブロードアピール、ディープインパクト、ヒシアマゾン、ゴールドシップは、もの凄い追込みで勝ったレース、オグリキャップ・トウカイテイオーは不調やアクシデントを乗り越えて勝ったという意味での大逆転レースです。
個人的に、追い込んで勝ったレースでいうと、デュランダルが勝った2003年のスプリンターズステークスが印象に残っています。直線が短い中山競馬場で最後方から追い込んで勝つという規格外のパフォーマンスはしびれますね。馬名のデュランダルの由来が「名刀」ということも相まって、まさに名刀の切れ味でしたね。
復活劇ということであれば、スペシャルウィークが勝った1999年の天皇賞・秋も挙げておきましょう。前走・前々走で敗れ、スペシャルウィーク終わってしまったんじゃないか説が流れる中、前走から馬体重を16kg絞りギリギリの仕上げで勝ち取った勝利でした。返す刀で次走のジャパンカップも勝ち、ラストランとなった有馬記念は惜しくも2着でしたが、強いスペシャルウィークが戻ってきて本当にうれしかったのを覚えています。
惜しむらくは、牡馬の活躍馬に恵まれなかったこと。後継種牡馬のトーホウジャッカルは血統を繋げていってもらいたいですね。
ともあれ今回のランキングで1位でも各得票率8.5%なので、相当票が割れたと思います。年代や嗜好によって、印象に残るレースは人それぞれ。これからも多くの人の心が震えるレースが一つでも多く出てくることを祈っています。
2021.06.15
2021.06.07
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2021.06.02