ケイバぶ

馬名にもランクがある。ノーモア記号馬名!

2021年06月15日

(以下は、あくまでも私の主観です。悪しからずご了承ください)
ダービー馬でも、カッコイイ馬名、ダサい馬名様々です。たとえば、シャフリヤールはカッコイイし、ロジャーバローズは微妙、ロジユニヴァースは、完全にダサい。
このように馬名にもランクがあります。

それでは「カッコイイ馬名」と「ダサい馬名」は何が違うのか?その基準を示していきます。

ランク どのような馬名か? ダービー馬で言うと
S
(とてもカッコイイ!)
冠名が付かないオリジナリティが高い馬名、しかも血統の繋がりを感じさせるような語句が含まれる ドゥラメンテ
A
(カッコイイ!)
冠名が付かない唯一性が高い語句 コントレイル
B
(まぁまぁ)
冠名+血統の繋がりを感じさせるような語句
C
(うーん)
冠名+オリジナリティが高い語句 ロジャーバローズ
D
(ダッサ!)
冠名+父母名などの一部 ロジユニヴァース
E
(ダサすぎ!論外!)
冠名+父母名などの一部。しかもその馬のキャラから大きく逸脱している語句が含まれる

ざっくりいうと、S・Aがカッコイイ、B・Cは普通、D・Eがダサい、という分類になってます。

それぞれの項目について細かく解説していきましょう。

Sランク(とてもカッコイイ!)

まずは、Sランク。オリジナリティが高く、血統のロマンを感じさせるような馬名ですね。例に挙げたドゥラメンテだと、母馬アドマイヤグルーヴからの連想馬名ですね。音楽用語繋がりです。

他には、オルフェーヴルもそうですね。フランス語で「金細工師」という意味ですが、父馬はステイゴールド、母馬はオリエンタルアートということで、金繋がり&アート繋がりとなかなか趣深い馬名です。

Aランク(カッコイイ!)

続いて、Aランク。血統のロマンこそあまり感じさせないもののオリジナリティが高い馬名です。例に挙げたコントレイルですが、意味は「飛行機雲」。父ディープインパクトは武豊騎手をして「飛ぶように走る」と言わしめた走法からの連想馬名(飛ぶ→飛行機→飛行機雲みたいな)ではないかな、と勝手に思っています。他には、キズナも良い馬名です。産まれたのが2010年3月5日と東日本大震災とほぼ同時期。復興への想いが込められた馬名ですね。

Bランク(まぁまぁ)

ここから普通馬名のBランク。
冠名という余計なおまけが付いているものの、血統のロマンを感じさせる馬名です。ダービー馬ではありませんが、ロードカナロアは、冠名ロードに、ハワイに伝わる海の神を意味するカナロアがくっついた馬名。ハワイと言えば、父キングカメハメハからの連想ですね。

Cランク(うーん)

Cランクは、冠名にオリジナリティが高い語句が付いた馬名ですが、割と多くて、例に挙げたロジャーバローズの他に、エイシンフラッシュ、ディープスカイ、メイショウサムソン、タニノギムレット等がいます。せっかくオリジナリティのある語句を付けるのなら、父馬や母馬を連想させるものを付ければいいのに、とは思いますが。

Dランク(ダッサ!)

そしてダサい馬名のDランク。ロジユニヴァース以外には、アドマイヤベガ、サニーブライアン、ナリタブライアン等が該当します。冠名+父母名の一部、父名の一部+母名の一部、のように機械的に付けられた馬名を私は「記号馬名」と呼んでいるのですが、私は、馬に対する愛情を感じられない記号馬名が、本当に嫌いです。心底ダサいと思います。

どれくらい嫌いかというと、記号馬名の馬の馬券は買いません。それくらい嫌いです(もちろん頑張って走っている馬自身や厩舎関係者や騎手にはリスペクトはありますよ)。おかげでロジの馬が好走すると、もれなく馬券は外れです。

Eランク(ダサすぎ!論外!)

もっとダサい馬名のEランクですが、記号馬名の更に下です。記号馬名は全部ダサいのですが、中でも、機械的に馬名を付けた結果、その馬自身の特徴から乖離した馬名になってしまった場合は特にダサいです。

たとえば、キタサンブラック。競争成績は文句なしの名馬ですが、馬名は最低ランクです。冠名キタサン、に父馬ブラックタイドの一部を付けて、キタサンブラックなのですが、これが悲劇の始まりです。

ブラックタイドは黒鹿毛なのでブラックと名付けられたのですが、キタサンブラックは鹿毛です。茶色なんです。ブラックの要素は無いのです。せめて父馬と同じく黒鹿毛であれば、キタサンブラックと名乗っても良かったのでしょうが、事情を知らない人は茶色の馬なのになんでブラックなんだろう?と思いますよ。名は体を表さない、記号馬名の悲劇と言えるでしょう。

さらに酷い記号馬名も存在します。それが、記号馬名でお馴染みの久米田正明氏(ロジユニヴァースの馬主)所有の「ロジシンボリ」。久米田氏の所有馬は99%記号馬名です。冠名+父馬名の一部か母馬名の一部、という馬名ルールを逸脱しません。馬主運と引き換えに馬名センスを悪魔に売り払ったのでしょう。残念ですね。

ロジシンボリの場合もその馬名ルールに則って、父馬シンボリクリスエスから取っていますが、シンボリってシンボリ牧場の冠名ですよ。他者の冠名を自分の馬名に付けるのは前代未聞です。おかげで馬名が、冠名+冠名、というその馬のアイデンティティ皆無の記号馬名が誕生してしまいました。

あと久米田氏は、ロジディープという馬も所有していますが、父馬ディープインパクトかと思いきや、父馬はキンシャサノキセキで、母父がディープインパクトでした。ほんと紛らわしい。

私は記号馬名を心底軽蔑します。記号馬名って、馬主にとって競馬はただのビジネスに過ぎない、という思いが透けて見えて萎えるのです。

もちろんサブちゃんのような大馬主は仕方ないかな、と同情すべき点もあります。中央・地方合わせて何百頭もの馬を所有していれば、1頭1頭オリジナリティ溢れる馬名を付けるのも難しいことでしょう。

でも久米田氏、あなたはダメだ。1年で多くて10頭程しかデビューしないのなら、1頭1頭愛情をもって馬名を付けていただきたい、もし面倒だというなら公募でもいいではないですか、馬名を付けたい競馬ファンなんて山ほどいますよ。

記号馬名が1頭でもいなくなることを切に願っています。

ちなみに私が好きな馬名は、ミスタープロスペクターです。その母ゴールドディガーからの因縁めいた馬名、そしてゴーンウェスト、シーキングザゴールド、フォーティナイナーといった後継種牡馬への炭鉱繋がりの馬名リレーも見事です。

この辺も別の機会にご紹介しますが、興味のある方は、「血統史たらればなし」(栗山求 著)をお読みください。ミスタープロスペクターの数奇な馬生を含め、色んな名馬に関するエッセイが収録されています。血統にロマンを感じる人はぜひ。

血統史たらればなし

著者:栗山求
価格:1,300円
出版日:2016/3/31