トウカイテイオー最後の産駒、キセキノテイオーが能検合格で来月デビューへ
トウカイテイオーの最後の産駒が、ホッカイドウ競馬でデビューできそうだ、ということがニュースになっていました。もしデビューしたとしても、その後、種牡馬になれる可能性は低く、シンボリルドルフからトウカイテイオーと繋がった血統は途切れてしまうかもしれません。(クワイトファインという後継種牡馬はいますけどね。後述)
このように、ダービー馬であっても血統を繋いでいくことは大変難しく、まず牡馬の産駒が活躍しないことには始まりませんし、また種牡馬になっても産駒をあまり残せないまま早逝してしまう馬もいます。
人間の世界だったら、後継ぎがパッとしなかったり、早逝したりしても、孫や甥など近親者を後釜に据えて家系を繋いでいきますが、サラブレッドは結果が全て、この種牡馬の産駒は走らないというレッテルを貼られたら挽回は不可能。血統というバトンを後世に繋いでいくためには、子、孫、ひ孫とそれぞれの代が一流でなければならないのです。
たまたまその代は活躍馬が出なかったので次世代に期待しよう、とはならないのです。ダービー馬であっても条件は同じ、産駒が活躍しなければ血統を繋ぐことはできません。
というわけで、1991年からの日本ダービー馬の血統がどのように繋がっているのか、表にまとめてみました。
まずは1991年から2000年の10年間です。
年 | 馬名(父馬) | 後継種牡馬 |
1991 | トウカイテイオー(シンボリルドルフ) | クワイトファイン |
1992 | ミホノブルボン(マグニテュード) | × |
1993 | ウイニングチケット(トニービン) | × |
1994 | ナリタブライアン(ブライアンズタイム) | × |
1995 | タヤスツヨシ(サンデーサイレンス) | × |
1996 | フサイチコンコルド(カーリアン) | バランスオブゲーム→× |
1997 | サニーブライアン(ブライアンズタイム) | × |
1998 | スペシャルウイーク(サンデーサイレンス) | トーホウジャッカル リーチザクラウン |
1999 | アドマイヤベガ(サンデーサイレンス) | × |
2000 | アグネスフライト(サンデーサイレンス) | × |
1990年代前半は、ポストノーザンテーストということで、様々な種牡馬の産駒がダービー馬となっていましたが、90年代後半は一気にサンデーサイレンス旋風が吹き荒れ、それまでの血統勢力図が塗り変わってしまいました。それでは、それぞれのダービー馬を見ていきましょう。
最後の産駒がデビューしそうなトウカイテイオーは、トウカイポイントがマイルチャンピオンシップを制しましたが、騙馬(去勢された牡馬)のため種牡馬にはなれず、目立った活躍はしていないもののクラウドファンディングによる資金調達の結果、クワイトファインが後継種牡馬となっています。種付けするのはほんの2~3頭ですが、この中から活躍馬は誕生するでしょうか。薄氷を踏むようなチャレンジが続きます。
ミホノブルボン、ウイニングチケットは目立った活躍馬を出すことができず、血統を繋ぐことはできませんでした。
三冠馬ナリタブライアンは種牡馬入りして2年目に急死してしまったため、2世代しか産駒を残すことができませんでした。その2世代151頭の中から目立った活躍馬は出なかったため、血統は途切れてしまいました。もしもっと長生きしていれば、後継種牡馬が出たかもしれませんね。残念です。
サンデーサイレンス産駒で初のダービー馬となったタヤスツヨシは、そこそこの活躍馬を出したものの、後継種牡馬には恵まれませんでした。とはいえ、他にもサンデー系の後継種牡馬は沢山いたので、サイアーライン自体が途切れてしまった馬達よりは悲壮感少なめ。
和製ラムタラ、フサイチコンコルドは、最強のGII馬バランスオブゲームが後継種牡馬となったものの、その後が続かず、血統は途切れてしまいました。
皐月賞、日本ダービーと逃げて二冠を達成した、サニーブライアンも後継種牡馬に恵まれず、血統は途切れてしまいました。
武豊騎手にダービージョッキーの栄冠をもたらしたスペシャルウイークは、活躍馬が牝馬に偏り(シーザリオ、ブエナビスタ)、牡馬はパッとしなかったのですが、菊花賞を勝ったトーホウジャッカルが後継種牡馬となりました。それから皐月賞で2番人気に支持されるくらい、めちゃくちゃ期待されていた、リーチザクラウンも種牡馬入りしていますね。
名牝ベガの第1子アドマイヤベガは早逝のため4世代しか産駒が残せず、その中から後継種牡馬は現れませんでした。アルナスラインがGIを獲っていれば後継種牡馬になれたんでしょうけどね。
アグネスフライトは種牡馬入りしたものの、目立った活躍馬が出なかったため、血統は途切れてしまいました。もっとも全弟のアグネスタキオンは、産駒に恵まれ、日本ダービー馬ディープスカイや皐月賞馬キャプテントゥーレなどが後継種牡馬となっています。甥っ子達の奮起に期待です。
1990年代の日本ダービー馬を見てきましたが、10頭中8頭が、後継種牡馬に恵まれず血統が途切れてしまいました。残った2頭の内、トウカイテイオーも何とか後継種牡馬は確保しましたが、その後に続くかどうかはかなり厳しいところです。可能性は0ではないが、限りなく0に近い、といったところ。
スペシャルウイークも後継種牡馬はいますが、目立った活躍馬はまだいない状況なので、安泰とは言えません。
2021.07.02
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2021.06.02