「夏は牝馬」が有名だが…獣医師記者が提唱したい、もう一つの格言「夏は小兵」熱交換の効率が有利に
中スポの若原記者が、夏場は馬体重が軽い馬が有利だ、という記事を書いていました。根拠として「サイズが小さいほど分母が小さくなって放熱効率は上がる。逆にサイズが大きいと放熱が進まず、体内に熱がため込まれる」としている。
重い馬の方が暑さがこたえる、ということだろうか。
気になったので、若原記者が分析したデータとは別のアプローチで検証してみた。
期間は2018年から2020年の3年間。同じ年の冬(1~2月)と夏(7~8月)に出走した延べ693頭を対象にして、それぞれの期間で記録した能力指数(ここではJRDBのIDMを使用)を、馬体重別に分類し、平均値を出してみた。
結果は下記の方の通り
馬体重 | 冬 | 夏 |
428kg以下 | 51.3 | 54.4 |
430~448 | 55.2 | 58.4 |
450~468 | 59.3 | 59.1 |
470~488 | 58.6 | 57.7 |
490~508 | 59.7 | 58.7 |
510~528 | 61.8 | 58.3 |
530kg以上 | 62.3 | 59.9 |
たしかに、若原記者が指摘したように、450kg以下の馬は、夏場の方が能力指数が高い。450~468kgだと夏場でも冬場でも能力はあまり変動せず、470kgを超えてくると、冬場の方が能力指数が高くなってくる、という結果になりました。
「夏は小兵が有利」は真実といえるでしょう。さらに距離別でも分析を進めたら、距離が延びるほど馬体重と気温の因果関係はハッキリするかもしれません。要分析ですね。
ともあれ、もし春に時点では能力に差が無かった馬が複数出走してきたら、馬体重が軽い方を上位にした方がいいかもしれません。
ちなみに、7月4日に行われるラジオNIKKEI賞の、予想される上位人気馬で、馬体重が軽いのはシュヴァリエローズ(前走時440kg)、重いのはアサマノイタズラ(前走時494kg)です。
同じく7月4日に行われるCBC賞はというと、ヨカヨカが前走時446kg、ピクシーナイトは前走時532kgでした。今年のCBC賞は中京ではなく小倉で行われますので、気温にも注目です。
2021.06.02
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